東京都世田谷区I邸の庭
鳥海石の水受けに小鳥が訪れる
雑木と苔の緑に包まれた庭
小スペースに雑木の緑あふれる苔庭をデザイン
家のリフォームをきっかけに依頼を受けたIさんのお宅は、家の前に小さなスペースがあるだけで、古い生垣が場所をとっていました。そこで、道路から目隠しをしながら、窓からの眺めを楽しめるように庭をデザインすることにしました。
庭づくりのイメージは、北海道にあるブナの北限の林です。打合せのときに、Iさんが旅行で訪れた話を聞き、北の大地の濃密な森林が浮かびました。狭い場所に雑木の庭をつくるためのポイントは、窓際に大きな木を植えること。リビング前には、5mほどのヤマボウシをはじめ、ダンコウバイやミツバツツジを植え、木々の重なりを表現しました。地面は苔で覆い、庭に広がりを出しています。水受けや景石に用いたのは、秋田県鳥海山で採れた自然石です。黒い色味が雑木に馴染みやすく、また多孔質なので苔もよく育ちます。
道路からの目隠しには、緑が映える黒竹のフェンスを設けました。玄関前のスペースを有効に活用するため、生垣を板塀に変え、既存の古い松の木を残して、庭に味わいを出しています。
窓いっぱいに苔や雑木の緑が広がり、まるで森のなかに住んでいるかのよう。水受けで小鳥が遊ぶ姿を眺めたり、木々の移ろいを感じたり、都心にいながら自然と交感できる庭ができました。